疾患・状態

全般不安症(全般性不安障害)

よみ:ぜんぱんせいふあんしょう別名・英語表記:全般性不安障害、GAD、generalized anxiety disorder

全般不安症とは、特定の対象に限らず、さまざまなことへの過剰な心配が長く続き、落ち着かなさや疲れやすさ、集中の困難などが生活に支障を与える不安症の一つです。

全般不安症(全般性不安障害)とは、はっきりした一つの対象や場面に限らず、仕事、健康、家族、お金など、さまざまなことに対する過剰な不安や心配が続き、その心配を自分では抑えにくく、生活に支障が出ている状態を指す不安症の一つです。英語名の頭文字をとって「GAD」とも呼ばれます。

心配性や不安そのものは誰にでもある自然な反応で、病気ではありません。全般不安症では、心配の量や続く期間、そのために生じる苦痛や生活への影響が大きく、身体の緊張や睡眠の問題も重なります。心理職は、ふつうの心配との違いを丁寧に見立てながら、認知行動療法的な理解と対処の練習を支えることが多い疾患です。

全般不安症の主な特徴

国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」では、全般性不安を、はっきりした対象にではなく、いろいろなことに対して次々と過剰な不安が生じる状態と説明しています。そのため常に落ち着かない感じがあり、疲労感や焦り、注意の続きにくさが出るとされています。

診断基準そのものは DSM-5-TR や ICD-11 の原典で確かめてください。要点としては、多くの出来事や活動について過剰な心配が長く(DSM-5-TR では成人でおおむね半年以上、ICD-11 では数か月以上が目安)続き、本人にとって心配をコントロールしにくいこと、さらに身体や精神面の症状をともなって生活に支障が出ていることが目安です。項目や数は原典を確認してください。

面接でよく聞かれる訴えには、次のようなものがあります。

  • 「何かあったらどうしよう」と、次から次へ心配が移っていく
  • 一つ心配が解消しても、すぐ別の心配が出てくる
  • 肩こり、頭痛、胃腸の不調、動悸などの身体症状
  • 寝つきが悪い、途中で目が覚める、翌日に疲れが残る
  • 決断や行動を先延ばしにする、確認や準備を過度にくり返す

似ている状態との違い

不安症は、どんな場面で不安が高まるかによって整理します。同サイトでは、不安症には分離不安、選択性緘黙、限局性恐怖症、社交不安症、パニック症、広場恐怖症、全般性不安などがあるとされています。全般不安症は、特定の場面に限らず不安が広がっている点が特徴です。

見分けるときは、次の点を確かめます。

  • 不安の中心は何か。人前での評価なら社交不安症、発作の再来ならパニック症が考えやすくなります
  • 確認行為や頭に浮かぶ考えへの囚われなら、強迫症の可能性も検討します
  • 出来事への反応として起きているなら、適応障害との区別を考えます
  • 気分の落ち込みや意欲の低下が前面に出ているなら、うつ病との併存を確かめます。併存することもあります
  • 動悸や息苦しさがあるときは、まず内科などで甲状腺の不調や不整脈などを確認することが大切です。カフェインやアルコール、薬の影響も確かめます

心理職が支援するときのポイント

アセスメントでは、心配の内容だけでなく、心配の「しかた」に注目します。聞き取る点は、次のとおりです。

  • 心配の対象と、その広がり(仕事、健康、家族、お金など)
  • 一日のうち心配に費やす時間と、止めようとして試したこと
  • 心配が出たときの身体の反応と行動(確認する、人に何度も尋ねる、避ける、準備を重ねる)
  • 睡眠、カフェインやアルコールの量、生活リズム
  • 生活や仕事への影響、医療機関の受診状況と主治医の方針

支援のポイントは、心配を「消す」ことを目標にしないことです。心配そのものを無理に止めようとすると、かえって強まることがあります。目標は、心配との付き合い方を変え、心配があっても生活を進められるようにすることだと共有します。

面接では、相談者が自分を責めていないかに気を配ります。同サイトにも、不安になったのは自分が弱いからだ、不安はどんどん悪くなる、といった考えが自動的に湧いてくる例が挙げられています。考え方の癖は性格の問題ではなく、練習で変えられる習慣として説明します。

安全面では、不安に伴ううつ状態や希死念慮がないかの確認も怠らず、必要に応じて医療と連携します。

よく使われる心理療法・アプローチ

同サイトでは、持続的な不安症に対して、不安を強めてしまう考えや行動に注目し、それを少しずつ修正して不安に対処できるという感覚を取り戻させる認知行動療法が紹介され、薬物療法と同等かそれ以上の効果が知られるとされています。

全般不安症で用いられることの多い要素には、次のものがあります。

  • 心配のモニタリング:いつ、何について、どのくらい心配したかを記録する
  • 心配の種類の整理:今できる行動で解決できる心配か、先のことで確実性を求めても答えが出ない心配かを分ける
  • 先延ばし、確認、回避など、不安を維持する行動を見直す
  • リラクセーション(呼吸法など):同サイトでも、呼吸法が不安の軽減に有効な場合が多いとされる
  • 不確かさに耐える練習、いまに注意を向けるやり方(マインドフルネスを取り入れる場合もある)

進め方の全体像は、認知行動療法のやり方も参考にしてください。薬物療法の選択は医師の領域です。心理職は服薬について助言せず、不安をなくすために薬だけに頼りすぎていないかを話し合い、主治医とのやり取りを支えます。

あわせて心理教育として、不安が起こる仕組み、不安は時間の経過とともに和らぐこと、避けるほど不安が続きやすいことを伝えます。同サイトでは、不安は最初の5分間ほどが最も強く、その後は横ばいになったり軽くなったりするとされています。

関連する用語

  • 適応障害:ストレス要因への反応として不安が出る状態
  • 社交不安症:人前での評価に不安が集中する疾患
  • パニック症:突然の発作と予期不安が中心の疾患
  • 心理教育:不安の仕組みを伝える関わり

参考文献・出典

  • 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「こころの情報サイト 不安症」 https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=BLA9JV0KhiWPIMzX
  • 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 行動医学研究部「不安との付き合い方」 https://www.ncnp.go.jp/nimh/behavior/anxiety/index.html
  • 厚生労働省「こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」 https://kokoro.mhlw.go.jp/
  • American Psychiatric Association(編)、日本精神神経学会(日本語版用語監修)、髙橋三郎・大野裕(監訳)『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院、2023年

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