スクールカウンセラーになるには?資格要件と採用の流れ

スクールカウンセラーになるには?資格要件と採用の流れ

スクールカウンセラーになるには?文部科学省の実施要領にある選考要件(公認心理師・臨床心理士・準ずる者)と、採用の流れ、仕事内容、勤務時間・報酬の見方、常勤化の動きまで整理します。

スクールカウンセラーになるには、文部科学省の実施要領が定める選考要件(公認心理師、臨床心理士、精神科医など)を満たし、都道府県・指定都市の教育委員会の募集に応募して選考を受ける、というのが基本の道筋です。要件を満たす資格がなくても、一定の学歴と経験があれば「準ずる者」という枠で任用される道もあります。

この記事では、国の実施要領に書かれている要件を軸に、資格ごとの違い、採用の流れ、仕事内容、勤務形態と報酬の見方、常勤化の動きまでを整理します。

この記事でわかること

  • スクールカウンセラーの選考要件と、「準ずる者」の条件
  • 大学・高卒・社会人それぞれから目指すときの考え方
  • 採用の流れと、会計年度任用職員という働き方
  • 仕事内容と、勤務時間・報酬の確かめ方
  • 常勤化の動きと、応募前にしておきたい準備

スクールカウンセラーになるには:国の実施要領で選考要件を確認する

スクールカウンセラーの公立学校への配置は、文部科学省の「スクールカウンセラー等活用事業」として進められています。実施主体は都道府県・指定都市で、選考の要件は国の実施要領に書かれています。

文部科学省の実施要領(令和8年2月17日一部改正)によると、スクールカウンセラーは、次のいずれかに該当する人から、実績も踏まえて都道府県または指定都市が選考し、認めた人とされています。

  • 公認心理師
  • 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士
  • 精神科医
  • 児童生徒の心理に関して高度に専門的な知識と経験をもち、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師(常時勤務をする者に限る)または助教の職にある人、またはあった人
  • 都道府県または指定都市が、上記と同等以上の知識と経験があると認めた人

つまり「資格を持っていれば自動的に採用される」わけではなく、最終的には各教育委員会が選考します。文部科学省のQ&Aでも、資格を有していることのみで判断せず、面接などを通じて学校現場での活動実績も踏まえて選考するよう求めています。

スクールカウンセラーの資格:公認心理師・臨床心理士で何が違う?

心理職をめざす人にとっては、公認心理師か臨床心理士のどちらかを取るルートが現実的です。実施要領の上では、どちらも並んで選考要件に入っています。

公認心理師でスクールカウンセラーをめざす

公認心理師は国家資格です。受験資格は公認心理師法第7条で定められていて、大学で必要な科目を修めて卒業し、さらに大学院で必要な科目を修めるルートや、大学で必要な科目を修めたうえで定められた施設で実務経験を積むルートなどがあります。試験は公認心理師試験研修センターが実施します。

受験資格の最新情報は、厚生労働省の公認心理師制度のページで確認してください。試験の日程や勉強の進め方は公認心理師試験の勉強法の記事で、二つの資格の違いは公認心理師と臨床心理士の違いの記事で詳しく扱っています。

臨床心理士でスクールカウンセラーをめざす

臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会(公益財団法人)が認めている民間資格です。認定協会が指定する大学院(指定大学院)などを修了し、資格試験に合格して認定を受けるのが一般的な道筋です。受験資格は、日本臨床心理士資格認定協会の受験資格のページで確認できます。

実施要領では、この「日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士」が選考要件に明記されています。応募できる資格の書き方は自治体の募集要項で確かめてください。

精神科医・大学教員という選考要件

選考要件には、精神科医や、児童生徒の心理に関して高度に専門的な知識・経験をもつ大学教員も入っています。心理系の大学院生が最初にめざす道ではありませんが、学校には多様な専門職が関わっているということがわかります。

スクールカウンセラーに準ずる者とは?資格がなくてもなれる?

資格を持っていなくても、「準ずる者」という枠で任用される道があります。ここは、検索で「資格なし」「社会人」と調べる人がもっとも気にするところです。

準ずる者の選考要件

実施要領では、準ずる者は次のいずれかに該当する人から、実績も踏まえて都道府県・指定都市が選考して認めた人とされています。

  • 大学院修士課程を修了した人で、心理業務または児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験がある人
  • 大学または短期大学を卒業した人で、心理業務または児童生徒を対象とした相談業務について、5年以上の経験がある人
  • 医師で、心理業務または児童生徒を対象とした相談業務について、1年以上の経験がある人
  • 都道府県または指定都市が、上記と同等以上の知識と経験があると認めた人

実施要領の文面では、学部や大学院の専攻を心理学に限る書き方にはなっていません。一方で、「経験」が条件に入っているため、新卒でこの条件を満たすのは難しいと考えられます。

準ずる者の任用には条件がある

実施要領には、準ずる者の任用は「地域や学校の実情を踏まえ、有資格者の任用よりも合理的であると認められる場合に行うことができる」という但し書きがあります。募集の有無や人数は、地域の事情によって変わるということです。

準ずる者の募集は、有資格者の募集とは別枠になっていることがあります。自治体によっては、有資格者と準ずる者で報酬の単価が分かれています。

教員免許は必要?

国の選考要件には、教員免許は入っていません。教員でなくても、要件を満たせば応募できる仕組みです。応募先ごとの条件は、募集要項で確かめてください。

スクールカウンセラーをめざす道筋:大学・大学院・社会人・高卒でどう進む?

出発点によって、取れるルートが変わります。要件が資格と学歴・経験の組み合わせで決まっているので、逆算して考えるのがコツです。

大学から目指す場合

大学で心理学や公認心理師に対応した科目を履修し、大学院に進んで公認心理師の受験資格を得るのが、いちばん標準的な道です。臨床心理士をめざすなら、指定大学院に進むことになります。大学院の選び方は上の指定大学院の記事、院試の勉強法は別の記事で扱っています。

大学院を修了して資格を取った後、教育委員会の募集に応募する流れです。選考では学校現場での活動実績も踏まえるとされているので、在学中に学校に関わる実習や活動の機会があれば、早い段階から意識しておく価値があります。

社会人から目指す場合

社会人から目指す場合は、次の2つの考え方があります。

  • 心理系の大学院に進み、公認心理師または臨床心理士をめざす(働きながら通う方法もあります)
  • すでに大学を卒業している場合は、心理業務や児童生徒を対象とした相談業務で5年以上の経験を積み、準ずる者の要件を満たす

後者は、5年以上の経験が必要で、募集枠が限られる点に注意が必要です。長く続けるなら、資格を取っておくほうが選択肢は広がります。

高卒から目指す場合

実施要領に書かれた要件を見るかぎり、公認心理師も臨床心理士も準ずる者も、大学・短大や大学院の修了が前提になっています。高校卒業後は、まず大学(短大)への進学を考えることになります。

進学後は、大学で公認心理師に対応した科目を履修できるかどうかを、学校の案内で確認しておくと、その後のルートが選びやすくなります。

スクールカウンセラーの採用の流れ:どこに応募する?

スクールカウンセラーは、ほとんどの場合、資格を取ってから各自治体の募集に応募して採用されます。採用の窓口と流れを押さえておきましょう。

公立学校は都道府県・指定都市の教育委員会

公立学校のスクールカウンセラーは、実施主体である都道府県・指定都市の教育委員会が選考します。市町村が独自に募集する場合もあるため、住んでいる地域と、働きたい地域の両方の募集を見ておきます。

募集の時期は自治体で違います。教育委員会のホームページの募集情報に載るので、定期的に確認する習慣をつけましょう。令和9年度(2027年度)の勤務に向けた募集が出始める時期にあたるため、応募先の自治体の募集要項で日程を確かめてください。

会計年度任用職員という働き方

文部科学省のQ&Aには、スクールカウンセラーを会計年度任用職員として任用する場合は、総務省の通知を踏まえた対応が求められると書かれています。多くの自治体では、スクールカウンセラーは会計年度任用職員(1会計年度内で任用される非常勤職員)として募集されています。

任期は4月1日から翌年3月31日までの1年が基本です。たとえば三重県教育委員会のスクールカウンセラーの勤務条件等に関する要領(令和8年4月1日施行)では、任期を当該年度の4月1日から3月31日までとしています。再度の任用は、相談件数や勤務態度、適性などを見て判断するとされています。

選考方法と応募の準備

選考方法は自治体ごとに違います。書類審査と面接で行う例が多く、応募票、資格登録証の写し、職歴の証明書などの提出を求める自治体もあります。準ずる者で応募するなら、大学院修了証明書や在職・職歴の証明書が必要になることがあります。

このため、応募前に次の準備をしておくと安心です。

  • 資格の登録証や修了証明書を、すぐに出せる状態にしておく
  • これまでの相談業務や心理業務の経験を、期間と内容で整理しておく
  • 学校現場での活動実績(実習、ボランティア、非常勤の経験など)を、説明できるようにしておく
  • 志望動機を、自分の経験と結びつけて言葉にしておく(書き方は心理職の志望動機の書き方で整理しています)

新卒がどこまで採用されるかは、自治体や年度の事情によって違います。実績も踏まえて選考するとされているため、応募先の募集要項で、経験年数の記載があるかを確認してください。

スクールカウンセラーの仕事内容:学校で何をする?

仕事の中心は、児童生徒へのカウンセリングです。ただし、それだけではありません。保護者や教職員への助言、学校全体の見立て、緊急時の支援まで、役割は広くなっています。

三重県教育委員会の勤務条件等に関する要領では、業務の内容として次のものが挙げられています。

  • 児童生徒へのカウンセリング
  • 保護者への助言・援助
  • 児童生徒の集団、学級、学校などに対するアセスメント(見立て)と助言・援助
  • 児童生徒の困難・ストレスへの対処方法や心の教育に関わる心理教育プログラムの実施
  • いじめ、暴力行為、不登校、貧困、虐待などを学校として認知した場合や、災害・事件・事故が起きた場合の援助
  • 教職員へのコンサルテーション(専門家の立場からの助言)
  • 訪問型の支援
  • 教職員のカウンセリング能力を高める校内研修の実施

文部科学省の資料でも、スクールカウンセラー等活用事業の中で、児童生徒の心のケアに加え、教員のカウンセリング能力の向上のための校内研修などが挙げられています。相談の対象は子どもだけではなく、学校という組織全体を支える仕事だということがわかります。

どんな相談が多い?

文部科学省のQ&Aに載っている資料では、令和6年度の相談件数は417万3,783件でした。児童生徒だけでなく、保護者や教職員からの相談も含まれています。内訳は、不登校が23.1%、心身の健康・保健(いじめと児童虐待を除く)が17.6%、発達障害等が11.5%、友人・教職員等との関係による課題が11.4%などでした。

不登校や発達に関する相談が多く、一人ひとりの面接だけでなく、学校と連携する力が求められる現場です。

配置の規模

同じ資料によると、令和6年度のスクールカウンセラー実人数は1万1,158人(準ずる者を含む)、対応学校等数は3万151校でした。令和6年度の予算額は60億8,500万円(6,085百万円)と示されています。ここ10年あまりで人数・対応校数とも増えてきた分野です。

スクールカウンセラーの勤務形態と報酬:時給・勤務時間の見方

勤務の形は、自治体によって差があります。ここでは、公表されている例を挙げますが、あくまで一例で、全国共通ではありません。

勤務時間の例

三重県教育委員会の要領(令和8年4月1日施行)では、年間勤務時間は805時間以内、1日あたりの勤務時間は午前8時30分から午後5時15分までのうち4時間から7時間とされています。週1日などの形で、複数の学校に派遣される自治体もあります。

また、文部科学省の実施要領では、会計年度任用職員への期末手当および勤勉手当が補助対象になるのは、週当たり15時間30分以上の勤務実績がある場合に限られるとしています。勤務時間が週15時間30分に満たないスクールカウンセラーは、この枠に入らない場合があります。

報酬の例

同じ三重県の要領(令和8年4月1日施行)では、時間額はスクールカウンセラー(有資格者)が5,000円、準ずる者が3,000円とされています。同じ要領で、期末手当と昇給は「無」と書かれています。これは令和8年度の一つの県の例です。金額は自治体と年度で変わるため、応募先の募集要項で確かめてください。

報酬の水準は、自治体によって違います。有資格者と準ずる者で単価を分けている募集が見られ、金額も地域や年度で変わります。収入全体の見通しは、勤務時間と合わせて見る必要があります。

掛け持ちで働くことが多い

スクールカウンセラーは非常勤が中心のため、他の職場と掛け持ちして働く人が少なくありません。心理職の常勤と非常勤の違いと、掛け持ちの考え方は別の記事で扱っています。

スクールカウンセラーの常勤化の動き

非常勤が中心というのが現状ですが、常勤で配置する動きも一部で見られます。

名古屋市の公式ページ(2026年10月16日更新)では、「なごや子ども応援委員会」として、全市立中学校111校と一部の市立高等学校に、総合援助職またはスクールカウンセラーを常勤職員として配置していると示されています。一方、全市立幼稚園・小学校・高等学校・特別支援学校には、非常勤のスクールカウンセラーが会計年度任用職員として配置されています。

国全体の常勤化の方針は、現時点の文部科学省の資料では示されていません。日本公認心理師協会が厚生労働省の事業として行った調査(令和2年度障害者総合福祉推進事業)では、教育分野で働く公認心理師には非常勤の人が多く、その背景としてスクールカウンセラーの大半が非常勤の職であることが指摘されています。常勤の枠は、自治体ごとの取り組みに左右される状況です。

よくある質問

Q. 資格がなくてもスクールカウンセラーになれますか?

国の実施要領では、公認心理師、臨床心理士、精神科医などが選考要件に入っています。資格がなくても、大学院修士課程修了+1年以上の経験などの条件を満たせば、準ずる者の枠で採用される道があります。ただし募集の有無は自治体の事情によります。

Q. スクールカウンセラーは公認心理師と臨床心理士のどちらが有利ですか?

実施要領では、どちらも同じ選考要件として並んでいます。どちらが有利かは国の資料では示されておらず、最終的には教育委員会が実績も含めて選考します。募集要項で、応募できる資格の記載を確認してください。

Q. 大学卒業後すぐにスクールカウンセラーになれますか?

公認心理師や臨床心理士を取るには、大学卒業後に大学院などで学ぶ必要があります。大学卒業のみの場合は、準ずる者の要件で5年以上の経験が必要です。

Q. 社会人でもスクールカウンセラーになれますか?

なれます。大学院で資格を取るルートと、経験を積んで準ずる者をめざすルートがあります。働きながら学ぶ場合は、通学の条件と実習の時期を事前に確かめてください。

Q. スクールカウンセラーは公務員ですか?

多くの自治体では、会計年度任用職員(1会計年度内で任用される非常勤の地方公務員)として任用されます。正規職員とは仕組みが異なります。身分は応募先の募集要項で確認してください。

Q. 認定心理士でスクールカウンセラーになれますか?

国の実施要領の選考要件には、認定心理士は入っていません。選考要件として並ぶのは、公認心理師、臨床心理士、精神科医などです。認定心理士だけで応募できるかは、募集要項に書かれた応募資格によります。学歴と経験の条件を満たす場合は、準ずる者として応募できる可能性があります。

Q. 資格は独学で取れますか?難易度は?

公認心理師も臨床心理士も、大学院などで学ぶことが受験の前提になるため、独学だけで取る資格ではありません。試験そのものの勉強は独学でも進められますが、受験資格を得る段階で大学院や実務経験が必要です。合格率や勉強の進め方は、上で紹介した公認心理師試験の勉強法の記事で扱っています。

Q. 教員免許は必要ですか?

国の選考要件には含まれていません。

まとめ

スクールカウンセラーになるには、次の3点を押さえるのが近道です。

  • 選考要件は、文部科学省の実施要領で公認心理師、臨床心理士、精神科医などと定められ、資格がなくても学歴と経験を満たせば準ずる者として採用される道がある
  • 採用は都道府県・指定都市の教育委員会の募集に応募する形で、会計年度任用職員として1年契約、非常勤が中心。勤務時間と報酬は自治体差が大きい
  • 選考では資格だけでなく学校現場での実績も見られるため、資格取得の前後から実習やボランティアなどの経験を積んでおく

制度や募集は変わります。応募の前には、必ず文部科学省の最新のスクールカウンセラー等活用事業に関するQ&Aと、応募先の教育委員会の募集要項で確認してください。