公認心理師の年収は?最新の公的統計と常勤・非常勤の差

公認心理師の年収を、最新の令和7年賃金構造基本統計調査(目安約454万円)と公認心理師だけの調査の分布で解説。常勤と非常勤の差、病院勤務・大学教員・開業の見方、年収が上がる条件もまとめます。
公認心理師の年収は、国の最新の統計(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、2026年3月公表)で見ると、医療施設で働く心理職を含む「その他の保健医療従事者」の平均がおよそ454万円です。ただし、この数字にはほかの医療職も含まれ、フルタイムで働く人だけの平均です。公認心理師だけを対象にした国の調査では、年収は「300万円以上400万円未満」の層が最も多く、常勤か非常勤か、どの分野で働くかで大きく分かれます。
この記事は、これから公認心理師を目指す方や、就職・進路を考え始めた方に向けて、最新の公的な数字と、働き方による年収の違いをまとめたものです。
この記事でわかること
- 公認心理師の年収の目安(最新の公的統計の数字と、その読み方)
- 公認心理師だけを対象にした調査での年収の分布
- 年収が低いと言われる理由と、常勤・非常勤の違い
- 病院勤務・大学教員・開業など、働き方ごとの年収の見方と、年収が上がる条件
公認心理師の年収はいくら?最新の公的統計
公認心理師の年収を知る手がかりになる公的な数字は2つあります。毎年更新される国の賃金統計と、公認心理師だけを対象にした調査です。まず新しいほうから見ていきます。
令和7年賃金構造基本統計調査:年収の目安は約454万円
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」は、職種ごとの賃金を毎年まとめている国の統計です。最新の令和7年の調査(2025年6月分の賃金、2026年3月公表)では、公認心理師という職種の区分はありません。医療施設で働く心理職(統計上の職業分類では「心理カウンセラー(医療施設)」)は、「その他の保健医療従事者」という区分に含まれます。
この区分の数字(企業規模10人以上、男女計)は次のとおりです。
- きまって支給する現金給与額(月): 31万8,600円(残業代などを含む)
- うち所定内給与額(月): 29万4,900円
- 年間賞与その他特別給与額: 71万8,300円
- 平均年齢37.6歳、平均勤続年数8.4年
月の給与の12か月分に賞与を足すと、年収はおよそ454万円になります。これは統計から計算した目安で、調査がそのまま年収として公表している数字ではありません。
この数字を読むときの注意点
約454万円は「公認心理師の平均年収」そのものではありません。使うときは次の点に注意してください。
- 「その他の保健医療従事者」には、臨床工学技士、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師、柔道整復師、義肢装具士なども含まれる
- 福祉施設、学校、企業などで働く心理職は、別の職業区分で集計されるため、この数字には入っていない
- 集計の対象は「一般労働者」(短時間で働く人を除く、フルタイムの人)で、非常勤で週に数日働く人の年収は反映されない
公認心理師は非常勤で働く人が多い職業なので、実際の公認心理師全体の年収は、この目安より低い側に広く散らばると考えておくのが安全です。
公認心理師だけを対象にした調査:最多は300万円台
公認心理師だけの年収の分布がわかる公的な調査は、厚生労働省の「令和2年度障害者総合福祉推進事業 公認心理師の活動状況等に関する調査」(日本公認心理師協会、2021年3月)です。2019年度の年収(手取りではなく総支給額)をたずねています。その後に行われた国の「令和5年度公認心理師活動状況等調査」(2024年3月公表)には年収の設問がないため、公認心理師だけの年収の分布としては、これが最新の公的データです。
- 対象は、2019年度の勤務期間が12か月に満たない人を除いた8,990人
- 年収は、公認心理師の専門性にもとづく活動を行っていた勤務先での年収
- 2019年度の数字なので、賃金統計の目安とあわせて読む
2019年度の年収を区分ごとに見ると、次のようになります(8,990人中の割合)。
- 100万円未満: 4.2%
- 100万円以上200万円未満: 8.1%
- 200万円以上300万円未満: 16.4%
- 300万円以上400万円未満: 21.3%
- 400万円以上500万円未満: 17.7%
- 500万円以上600万円未満: 11.1%
- 600万円以上700万円未満: 6.9%
- 700万円以上800万円未満: 4.6%
- 800万円以上900万円未満: 2.7%
- 900万円以上1,000万円未満: 1.5%
- 1,000万円以上: 2.9%
最も多いのは300万円以上400万円未満で、約2割です。500万円未満までを合わせると、累計で約68%になります。非常勤の人も含めた分布なので、フルタイムの人だけの賃金統計(約454万円)より低い側に厚くなっています。
公認心理師の年収が低いと言われる理由
「公認心理師は年収が低い」という声は、検索でもよく見かけます。ここでは、公的な資料から読み取れる範囲で理由を整理します。
非常勤で働く人が多い
日本学術会議の報告「公認心理師の国家的活用の在り方」(2026年8月28日)は、令和5年度の公認心理師活動状況等調査(38,827名が回答)の結果として、非常勤が4割を占め、職業として不安定であると指摘しています。非常勤は時給や日給で働くことが多く、勤務日数が限られるため、年収が伸びにくくなります。
また、同報告は、常勤のポストが不足していることも課題として挙げています。非常勤を選ぶ理由は人によって違い、希望する常勤の求人がないという人もいれば、家庭の事情や、自分の都合のよい時間に働きたいという人もいます。
資格だけで職や収入が保証されるわけではない
公認心理師は名称独占の資格です。資格のない人が「公認心理師」を名乗れないという制度で、心理的支援の仕事自体を公認心理師だけに限る制度ではありません(公認心理師法第44条)。そのため、資格を取っても、どの職場でどんな雇用形態で働くかによって、年収は大きく変わります。
医療機関での扱いは、制度の改定で変わってきています。日本学術会議の報告によると、2026年度(令和8年度)の診療報酬改定で、精神科専門療法の「認知療法・認知行動療法」の実施者に公認心理師が追加され、「通院・在宅精神療法心理支援加算」も拡充されました。施設基準のハードルは高いものの、公認心理師を雇用しやすくなる改定と位置づけられています。ただし、これが一人ひとりの年収にどう反映されるかは、この記事の調査からはわかりません。勤務先の求人や、所属する学会・職能団体の最新の情報も合わせて確認してください。制度の動きと今後の見通しは、公認心理師の将来性は?需要・配置の動きと厳しい現実でも扱っています。
分布が広く、低い層も一定数いる
先ほどの分布のとおり、200万円未満の人は合わせて約12%、300万円未満では約29%です。複数の勤務先を掛け持ちして働く人や、勤務期間の短い人も含まれる点には注意が必要です。一方で、500万円以上の層も一定数おり、区分ごとの割合を合わせると約3割です。
常勤と非常勤で年収はどう違う
雇用形態は、年収の分布を大きく分ける要因です。同じ調査から、常勤と非常勤の違いを見ていきます。
常勤の年収分布
2019年度の年収を常勤ありの人(4,987人)で見ると、次のような傾向でした。
- 300万円台(20.7%)と400万円台(20.6%)が同程度で、この2区分が最も多い
- 500万円以上600万円未満が15.2%
- 1,000万円以上が4.9%
非常勤のみの年収分布
非常勤のみの人(3,359人)では、分布が低い側に寄っていました。
- 200万円以上300万円未満が25.1%で最も多い
- 300万円以上400万円未満が22.0%
- 100万円以上200万円未満が16.7%
- 100万円未満が8.8%
非常勤は、複数の勤務先を合わせれば年収が上がることもあります。ただ、この集計は「非常勤のみ」の人の、公認心理師としての活動による年収です。複数の勤務先を持つときの規程の確認は、公認心理師の副業はできる?が参考になります。
実務経験年数による違い
実務経験年数でも違いがありました。10年未満の人(2,962人)では300万円以上400万円未満が29.7%で最も多く、10年以上の人(5,379人)では400万円以上500万円未満が18.2%で最も多くなっています。1,000万円以上の割合は、10年未満で0.3%、10年以上で4.4%でした。
分野別・勤務先別の年収の見方
どの分野で働くかによっても、年収の山がずれます。ここでは、病院勤務、大学教員、開業の順に見ていきます。
保健医療・福祉・教育・産業労働・司法犯罪の傾向
同じ調査では、主たる活動分野別に2019年度の年収を比べています(対象5,817人)。
- 保健医療分野、福祉分野、教育分野: 300万円以上400万円未満が最多
- 産業・労働分野: 400万円以上500万円未満が最多
- 司法・犯罪分野: 500万円以上600万円未満が最多
- その他の分野: 1,000万円以上の割合が最も高い(内訳は大学・研究所等で活動する人が多い)
司法・犯罪分野は、公務員として働く人が多く、常勤がほとんどであることが、日本学術会議の報告でも述べられています。分野ごとの違いは、雇用形態や給与体系の違いも反映していると考えられます。
病院勤務の年収
病院勤務は、保健医療分野にあたります。調査では、保健医療分野の年収は300万円以上400万円未満が最も多い結果でした。
ただし、この調査から「病院勤務だけの年収」は切り分けられません。国立・公立の病院では自治体や法人の給与規程にもとづくなど、設置主体によって給与の決まり方が違うため、志望先の募集要項で給与体系と雇用形態を確認することが確実です。常勤の枠は限られることが多いため、求人の時期や条件も早めに調べておきましょう。
大学教員の年収
大学教員の年収は、調査の「その他の分野」の中の、大学・研究所等に含まれます。この分野では、1,000万円以上の割合が最も高く、その内訳は多くが大学・研究所等で活動している人でした。
この調査からわかるのは、ここまでです。大学教員の年収は、大学の設置者、職位(助教・准教授・教授など)、勤務年数で大きく異なるため、具体的な金額は各大学の公募要項や給与規程で確認する必要があります。一般に、大学教員をめざすには大学院での研究業績が求められます。
開業の年収
開業して私設の心理相談室を運営する場合、年収は集客、1回あたりの料金、稼働できる件数、経費などで決まります。この調査の分類では、私設心理相談機関は「その他の分野」の一部ですが、開業者だけの年収分布は確認できませんでした。
そのため、開業すれば年収が上がる、あるいは下がるといった断定はできません。勤務を続けながら準備を進める人もいます。法令の確認や契約の判断は、所属先の規程や関係法令を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。
公認心理師の年収は上がる?年収を上げる考え方
年収を上げられるかどうかは、これから資格を取る人にとっていちばん気になる点です。調査から読み取れる範囲で、考え方を整理します。
経験年数と常勤化が分かれ目になる
前述のとおり、10年以上の経験者では400万円以上500万円未満が最も多く、1,000万円以上の割合も10年未満より高くなっていました。経験を積むことで年収が上がる傾向は読み取れます。ただし、同じ経験年数でも、雇用形態や分野で大きく違います。
また、常勤と非常勤のみを比べると、常勤のほうが分布が高い側に寄っています。常勤の求人は限られるため、在学中の実習や、早い段階での情報収集が役に立ちます。就職先の分野ごとの特徴は、公認心理師の就職先と5分野の特徴を見ると整理しやすくなります。
年収1,000万円はめざせるのか
調査では、1,000万円以上の人は2.9%(257人)でした。常勤の人に限ると4.9%、実務経験10年以上では4.4%です。
数としては少数ですが、いないわけではありません。1,000万円以上の割合が最も高かったのは、前述の「その他の分野」で、大学・研究所等で活動する人が多い層です。ただし、これは調査上の傾向で、特定の働き方を選べば1,000万円に届くという意味ではありません。
数字を読むときの注意点
年収の数字を使って進路を考えるときは、次の点に注意してください。
- 調査の年度を確認する(賃金統計は2025年、公認心理師だけの分布は2019年度の年収)
- フルタイムの人だけの平均か、非常勤も含む分布かを確認する
- 総支給額(手取りではない)か、手取りかを確認する
- 常勤と非常勤、分野が混ざっていないか確認する
- 求人票の年収は、あくまで募集時点の条件であることを意識する
よくある質問
公認心理師の年収について、検索でよく見られる疑問に答えます。
Q. 公認心理師の年収はいくらですか?
最新の国の賃金統計(令和7年賃金構造基本統計調査)では、医療施設で働く心理職を含む「その他の保健医療従事者」の年収の目安が約454万円です(フルタイムの人の平均で、ほかの医療職も含みます)。公認心理師だけを対象にした調査(2019年度の年収、8,990人)では、300万円以上400万円未満が約21%で最も多い層でした。
Q. 公認心理師の年収が低いと言われるのはなぜですか?
非常勤で働く人が約4割を占めること(日本学術会議の報告)や、常勤のポストが限られていることが背景にあります。ただし、雇用形態や分野によって年収の分布は大きく異なります。
Q. 公認心理師の年収は上がりますか?
調査では、実務経験が10年以上の人のほうが、10年未満の人より高い年収の区分に分布していました。ただし、経験年数だけで決まるものではなく、雇用形態や勤務先によって変わります。
Q. 公認心理師の常勤と非常勤で年収はどれくらい違いますか?
常勤は300万〜500万円未満に多く、非常勤のみの人は200万〜400万円未満に多く分布していました(2019年度の年収)。
Q. 公認心理師で年収1,000万円はめざせますか?
調査では1,000万円以上は約2.9%でした。少数ですが存在し、大学・研究所等で活動する人が多い分野で割合が高くなっていました。
Q. 病院で働く公認心理師の年収はどれくらいですか?
保健医療分野では300万円以上400万円未満が最も多い結果でした。病院だけに絞った年収は、この調査からは確認できないため、志望先の募集要項で確認してください。
まとめ:公認心理師の年収は雇用形態と分野で大きく変わる
公認心理師の年収について、押さえておきたいポイントは次の3つです。
- 最新の国の賃金統計では、医療施設の心理職を含む区分の年収の目安は約454万円(フルタイムの平均)。公認心理師だけの調査では300万円台が最多で、非常勤を含めると分布は低い側に広がる
- 常勤は300万〜500万円未満、非常勤のみは200万〜400万円未満に多く、雇用形態の違いが年収の差につながる
- 病院勤務・大学教員・開業など、働き方ごとの金額は、公的調査だけでは切り分けられないため、募集要項や規程で個別に確認する
年収は、資格を取った後の働き方で大きく変わります。この記事の数字を土台に、進路や就職先を選ぶときの判断材料にしてください。
参考にした公的な情報は次のとおりです。



